東京都・移築土蔵の家


海鼠壁と黒漆喰塗りの妻壁
 明治6年(1873)に建てられたと伝えられる埼玉県所沢市の見世蔵(店蔵)を解体して都内に移築し、住まいとして造り替えた建物です。

 元の蔵の骨組みのほとんどを再利用し、屋根瓦や巨大な影盛ばかりでなく、観音開きの土戸や一部建具もこの家に組み込まれています。

 外壁の土の厚みは一尺(30cm)あり、下部を海鼠壁、上部を水切り瓦付きの江戸黒漆喰磨きで仕上げてありますが、土佐漆喰の柔らかい白と黒漆喰の対比が新鮮でモダンな表現となりました。

 土蔵の象徴ともいえる観音扉も黒漆喰磨きで修復され、この家の中心に鎮座しています。

 蔵を建てた呉服商から陶器の店に譲られた際に手が加えられ、そして今回は店蔵から住まいへの模様替えの為に再び匠の技が結集されました。100年を超えて使い続けられた後に、さらに久しく残る建築として生まれ変わったわけです。






元の店蔵の瓦を葺いた建物正面









観音扉上部の冠木と掛子まわり





黒漆喰で磨かれた観音扉