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現場リポートⅣ 深川の木造町屋
 ■ 基礎工事

 基礎高さは1階床高から床組み(床仕上げ材・根太・大引・土台等)分を下げた高さで決めます。地盤面から測った床の高さが60㎝の場合、コンクリート基礎天端を40㎝程度として設計するのが現在の住宅では一般的です。地面に近い部分は湿気が多く、基礎が低いと土台や外壁が湿気や地面からの雨の跳ね返りで腐食しやすく、改築の現場では腐朽菌や蟻害でボロボロ・スカスカになった土台に接することも珍しくありません。1階の床の高さが低い場合は、軒の出を深くして家の下部が雨に掛かり難くしたり、ベタ基礎に上開放的な床組みを計画して床下通気を良くしたり、家の周囲に犬走りコンクリートを施工するなど、木部を湿気による腐朽やシロアリの害から保護する必要があります。

写真1  レベルやトランシットを使い位置を正確に決める

写真2  根切り砕石転圧を行い防湿シートを敷く

 さて、隅田川と荒川に挟まれた低地には、両方の川を結ぶ運河が行く筋も造られていますが、大雨による増水による氾濫で、多くの家屋がたびたび床下浸水を経験してきました。江東区の作成した大雨浸水ハザードマップは、平成12年9月の東海豪雨(総雨量589㎜、時間最大雨量114㎜)を想定していますが、計画地付近の浸水深さは0.5~1.0m未満となっています。もちろん現在は、両方の川と運河の間には水量を調整する開閉式の堰が設けられていますが、住宅ばかりでなく事務所ビルでも1階の床を高くした道路から数段上がって建物に入る例が普通に見られます。今回の住宅では、地域的な特性から1階の床の高さを地盤面から80㎝と高く設定しました。
 柱状改良方式の地盤補強工事を済ませた後、通常コンクリートベタ基礎と呼ぶ基礎工事に掛かります。最初に建物位置と基礎の高さを正確に決める基準となる、水盛り遣り方という作業を建て主の立会いの下で進めます。3間半角の正方形の平面なので半日で済みますが、関東大震災と東京大空襲で焦土と化した地域では敷地境界線を示す資料も境界杭も無いため、隣家と決めた境界線から50㎝ほど建物周囲を空けて位置決めを行いました。ベタ基礎にも幾つかの形式がありますが、当事務所では基礎周囲と建物内下部に幾筋かの地中梁を掘り下げから平らにスラブを打ち、さらに基礎天端まで立ち上がり布基礎を設ける方法を採用しております。床下通気の確保は、コンクリート基礎天端の上にモルタルで30㎜のネコマと呼ぶ通気孔を設けます。

写真3  捨てコンクリートを50㎜厚に打ち鏝で均す

写真4  直径13㎜異形鉄筋を組み上げる

 基礎を高くした場合、使用するコンクリートの鉄筋の総量が増えるので工事費が上がりますが、コストに一番影響を与えるのは仮枠の数量です。基礎専門職は自前の仮枠を持っていて幾つかの現場で使いまわしていますが、長く使える鋼製仮枠の幅は30㎝、45㎝、60㎝、75㎝が一般的で、基礎の高さがそれ以上になる場合は、鋼製仮枠を上下に重ねて使用するか、コンクリートパネルで新規の仮枠を作ることになります。今回の場合、敷地周囲三方は75㎝、道路面側は30㎝と60㎝の鋼製仮枠を重ねて用い、さらに高基礎となる浴室回りは現場で仮枠を製作しました。
 基礎工事費の内訳の項目は、水盛・根切・残土処分・重機・砕石・捨てコン・防湿シート・鉄筋・仮枠・コンクリート・ポンプ車・束石・天端モルタル・アンカーボルトなどです。3間半角(40.5㎡:12.2坪)の今回の現場では、基礎工事費146万円のうち、鉄筋に33万円(22.6%)、仮枠24万円(16.4%)、コンクリート23万円(15.7%)の主体工事費が61%を占めています。坪あたりの単価は12万円弱となり、小規模ゆえにやや高めについています。ただ、基礎の工事費は、道路事情や周囲の環境にかなり影響されるもので、4トン車が通行できる道路でなかったり、道路占有許可が必要であったり、警備員の配置が求められたりすれば、今回の現場のように基礎工事に余裕を持った計画が必要となります。

写真5  コンクリートを打設し、鏝押えを行う

写真6  立ち上がり布基礎のコンクリートを打つ