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 2007/07/03 上棟式と直会
■ 現場リポート

東京都三鷹市で、Tさんの住いの建築工事が始まりました。
このコーナーでは、当事務所の仕事の進め方を知っていただくために、工事の工程を進行順に説明していきたいと思います。なお、竣工は2007年10月を予定しています。





建物中央のテーブルを祭壇にして棟札とお供物を並べる


 地鎮祭が家造りの無事を祈って工事の始めに行う祝い事なら、上棟式と直会は組み上がった家の骨組みを見ながら、材を集めた材木棟梁、鳶の頭、大工の棟梁などの苦労をねぎらい、建て主の家族と職方全員が竣工に向けての結束を固める祝いの場と言えます。

 上棟式では祝詞を奏上しますが、内容は大神達に上棟したことを報告し、工事終了までの安全とこの家を中心としての家族の繁栄を祈ることが多いようです。当事務所で私が上げる祝詞は以下のような内容です。独特の言い回しがあり、初めから決してすらすら読めるものではありませんが、味わい深い内容なので興味のある方は、時間を掛けて一度読んでみてはどうでしょうか。

 上棟式祝詞
掛けまくも あやに畏き 手置帆負命 彦佐知命 屋船豊受比命の大神達の御前に 畏み申さく
先に木工「○○」が 「○○」の家を造り始むるに 加久多安からぬ事をば 我が須女神の御霊賜いて 突立てたる柱 取挙げたる棟木 桁 梁の木組とよみなる事なく 打堅あたる釘の緩び 取葺る束のそぎなく 千代常とはに造り終しめ給へるを嬉しび 今日の生く日の足る月に いや喜びの主人と御酒 御食 設たらわして 今も後も 此の家を安宮と 大神等の護り給いて 法のまにまに 平けく 安らけく 成し おへしめし給へと 畏み畏み申す

 塩 米 酒 水 山の幸 海の幸を建て主には用意していただき、祭壇に上げて神様に奉納する儀式が終了したら、建物の四隅に塩・米・酒・水を順番にまいて清めます。表に大神の名前と守護を、裏に上棟の日にちと建主・設計者・棟梁などの名前を書いた棟札と呼ぶ板と、扇・麻・紅白の紙垂・水引などを棒の付けた上棟飾りは、当事務所で用意します。

 上棟式が終了すると、お神酒を参加者全員に配って乾杯する直会(なおらい)を建物の中で行います。建主・設計者・棟梁などの挨拶があり、酒宴が始まります。材料を選んで、墨を掛けて、刻んだ部材を組み上げて、屋根を載せるまでの数ヶ月の苦労が実って形になったのですから、建主はもちろん、鳶の頭、大工の棟梁などを中心にいつも夜遅くまで盛り上がります。

 会の中〆にあたり、この日は鳶の頭から木遣り歌の披露がありました。そして、全員で手締めを行ってお開きとなります。

 工事中に、現場に職方全員がそろって建主の家族と顔をあわせる機会は、上棟式の場のみです。建て主直営の方式では、建て主と個々の職方が直接契約しているため、職方の間での上下関係はなく初めて参加する職人もいます。

 工事を円滑に進めるために当事務所では、設計担当者がチーム全員をまとめる役割をしますが、建主が個々の職方をねぎらい、職人衆も一丸となっていい仕事を約束するという関係が、上棟式の場で生まれていくわけです。

 工期短縮や経費削減などの理由から、上棟式を省略する現場も少なくないと聞きます。当事務所では、今後もこの大事なしきたりをきっちりと続けていくつもりです。



建て主家族と職方代表がそろい、祝詞を奏上する



祭壇に向かい、拍手を打つ緊張した面持ちの棟梁



直会が始まり建て主挨拶の後、棟梁の発声でまずは乾杯!



宴もたけなわ、職方めいめいから建て主への挨拶が続く



中〆にあたり、鳶の頭による木遣り歌が会場に響いた