メインメニュー
 2007/07/30 サッシ・ガラスの取り付け
■ 現場リポート

東京都三鷹市で、Tさんの住いの建築工事が始まりました。
このコーナーでは、当事務所の仕事の進め方を知っていただくために、工事の工程を進行順に説明していきたいと思います。なお、竣工は2007年10月を予定しています。





丸窓サッシにガラス固定用ゴムを取り付ける

 アルミサッシが広まり始めたのは40~50年前のことで、建築の歴史から見ればごく最近の出来事といってもいいかも知れません。それ以前は、ガラス戸や雨戸は現場で建具屋さんが採寸して一本ずつ製作していました。初期のアルミサッシはアルマイトの型鋼に一枚のガラスをはめ込んだもので、サッシやゴムの劣化、サッシとガラス面のひどい結露、戸車の故障など数十年単位の耐久性を備えたものはなかったと思います。ところが、それまでの木製建具に比べて、低価格・水密・気密・施工性のよさなどから爆発的に広まり、建物の躯体が木造・鉄筋コンクリート造、鉄造等、条件を問わず全てアルミサッシが常識となりました。その後、アルミサッシ製品はここ数十年の間に、対抗性に優れた表面処理の進化、結露防止の機構、ガラスの性能の進化、防犯装置の進化など目まぐるしい変化を遂げています。

 一方で、木製建具はほとんど変化も進化も見られませんでしたが、ようやく最近10数年の間に、木枠と障子(木枠に対して言う建具)が一体となった建具製作の開始や、木製障子とアルミ枠一体型ハイブリット建具の開発など、木製建具の歴史的進化といえるほどの変革が続いています。木製建具の優れた点を残しながら気密性能・断熱性能・防音性能を上げ、さらに実験を繰り返すことで、防火性能の認定も取得した製品の販売も始まりました。準防火地域など都市部での窓は網入りガラス入りアルミサッシが常識となっていますが、防火アルミサッシも実際の火災では550℃以上で枠が溶解し、役目を果たさないとの報告もあります。防露・調湿・防火などの性能面では木製サッシのほうが優れています。また、原料のボーキサイトからアルミを製造する過程でのエネルギーと天然の木を比較すると、製造から廃棄までの時間軸で評価した省エネ性能は、木製サッシが格段に優れています。

 今後もしばらくは、気密・防音・断熱などの性能向上を住宅の開口部に求めていく時代が続くと思われますが、長寿命の家づくりをめざす時、諸外国の実情も参考にしていいと思います。木製サッシ普及率を調べた統計によると、北欧3国95%、イギリス75%、フランス55%(アルミサッシは35%)、アメリカカ45%、西ドイツ39%(樹脂サッシは46%)などの数字があります。(財団法人・日本住宅木材センター) 木製サッシ以外はアルミ、樹脂などか、現場製作枠取り付け木製建具です。それぞれの国には異なる事情や自然環境があり単純な比較はできませんが、何の疑問もなく90%以上の窓がアルミ製品で取り付けている日本は、世界的にも特殊な状態であるようです。
 
 これまで求められていた、水密・気密・断熱・防音などの性能に加えて、時間軸で判断した省エネ性、町並みとの調和を考えた景観性、耐久性などを考えていくと、アルミサッシだけの選択から木製サッシも含めた選択へと変えていく時に来ているように感じます。まだ、製作コストが高いという難点もありますが、これも50年から80年以上の耐久性を持つものであれば、決して高いとはいえません。ただ、実験ではなく実績こそが時間軸の中で唯一信頼できる価値であると考えるなら、始まったばかりといえる木製サッシのほんとうの評価は、将来に任せることになります。

 窓の設計にあたり、建物全体に占めるコストも重要な要素の一つになります。ガラスの種類がこれだけ増えた現在、断熱・防音・防犯などの性能をガラスに求める動きの一つの傾向ですが、そこには当然価格の差も生じできます。一例として、一間の掃きだし窓に入れるアルミサッシとして、幅1690ミリ、高さ2000ミリのものを比較した場合、5ミリ厚の一枚ガラス入りアルミサッシは約50,000円、5ミリ+5ミリの複層ガラス入り結露防止断熱サッシは約100,000円、枠と一体で作る複層ガラス入り木製サッシは約140,000円ぐらいします。ちなみに、5ミリ厚一枚ガラス入り赤白地スギ材使用の製作建具の金額は二枚で約100,000円程度ですから、敷居・鴨居を現場の大工さんに任せる木製建具が一概に高いとばかりといえません。

 最低気温がマイナス15℃にもなる山間部や高冷地では、断熱性能を優先させて複層ガラスを入れた結露防止断熱サッシや木製サッシを選択します。また、外部への見えがかりを重視した羽目殺しガラスも、結露防止に二重にすることが普通です。ただ、内側に障子を入れられる計画では、障子の構造に断熱性能があるために、東京以南の場所なら5ミリ厚の一枚ガラス入りアルミサッシでも特段生活には支障がないと考えています。開口部の性能を上げた場合のコスト比較は、建物全体の構造や仕上げなどとのバランスを考えながら検討し、決定していく必要があります。

  外壁の荒壁付けが終了した後に、各開口部に敷居・鴨居や窓台・窓まぐさや窓枠を取り付ける造作工事に入ります。アルミサッシを組み立てて現場に搬入するのは、ガラス屋さんの仕事です。建物の上棟後に、現場で柱間の寸法を測り、既製品のサイズで間に合うもの以外のものは、一つ大きいサイズのアルミサッシを幅詰めや高さ詰めの加工を施してから現場に納品します。アルミサッシにガラスを入れるのはガラス屋さん仕事ですが、運び込まれたサッシ枠を建物につりつける作業は大工さんが行います。 ガラス屋さんが現場でガラスを取り付けるのは、羽目殺しガラスを枠に入れる時と、木製建具が吊りこまれた後に木製ガラス戸に入れる場合があります。複層の重くて大きいガラスを使用することが増えてきた現在、ガラスの荷揚げと取り付けは、危険を伴う大変な重労働となってきました。



ガラスを嵌め込みシリコンのコーキングを打つ



ヘラで均した後に養生テープをはがす



サッシ枠と木製下地に防水テープを張る



複層ガラスの入った窓用サッシ



羽目板張り作業の後に雨戸枠などを付ける