連載『木造伝統構法に学ぶ』

雑誌『木の家に暮らす』紙面で、2004年〜2006年の3年間9回に渡り、木造伝統構法について再考する連載企画をお引き受けし、考えをまとめてきました。

循環型社会の実現、気候風土に合った長寿命の家づくり、地震にあっても直しやすい構法、地域の景観と誇りと愛着など、この国の伝統的な構法・工法で作られてきた民家には、現在でも学ぶ点が多いことを再確認した内容となりました。

ここ数年間で時代は大きく変わり、古い家を直しながら住み継ぐことがごく当たり前のこととして受けいれられるようになりました。自宅の新築やリフォーム考える時に、各地につくられた地域の民家園に出かけて先人の知恵の数々に触れる体験をしてみることは、設計に当って無駄なことにはならないと考えております。

9回で終了することになりましたが、さらに民間の生産方式、解体後素材の使いまわしの実際、素材と手間と建築コストなどについてもまとめ、これまで書いた内容にも再検討を加えて、機会があれば広く一般に呼んでいただける書籍として出したいと願っています。

ナンバー タイトル 概 要
2004年

vol.08号
第1回 提言
いまこそ、家づくりの本質を再考する
暴風雨のシロアリの島での木造建築・平均耐用年数26年という現実・長寿命の家づくりのための方向転換・いま木造建築が再評価される理由・木造伝統構法の利点と欠点、そして課題
2005年

vol.09号
第2回 概論
伝統構法とはなにか
構法と工法・現在行われている伝統構法の家づくりの実際・さまざまな伝統構法の特色・現在の在来工法との違い、そして転換・新たな価値と仕様書の作成に向かって
2005年
vol.10号
第3回 解説
軸組み架構の耐力を知る
地震・台風・火事・・、震災と伝統構法・小屋組み、軸組み、床組み・西洋軸組みの影響、阪神・淡路大震災以前とそれ以後・伝統民家の耐震性能評価の始まり
2005年

vol.11号
第4回 解説
伝統構法の強度を支えるディテール
無垢材と集成材。実験と実績の違い・適材適所に木を使い、生かす・木組みを支える接合部
2005年
vol.12号
第5回 解説
「丈夫で長持ち」を支える条件
丈夫さと長持ちとの関係・長持ちを支える共通条件・柱 梁など構造体を表し、時々調整する・屋根と壁と単純明快な納まりで雨とつきあう・畳 障子紙 雨樋など部品交換を前提とした家・人も住まいに合わせて住み、周辺環境から見直す・室内用途を限定しない広間・維持管理までの付き合いを求める職人との関係
2006年

vol.13号
第6回 解説 
民家の空間構成と住み心地 その1
田の字型の農家と通リ庭の町屋・現代の住まいの機密性と開放性・土間と広間の融通性・土間の自由さを現代に生かす
2006年

vol.14号
第7回 解説 
民家の空間構成と住み心地 その2
気候風土と上手につきあう知恵と工夫・伝統民家と現代住宅の住み心地・五感で感じる居心地・自然素材のばらつき効果・伝統民家の採光と通風の技術
2006年

vol.15号
第8回 解説 
家づくりの工法@ 木・土・石・草など自然素材の生かし方
身の回りの安全素材としての木と土と草・屋根をつくる素材と工法・壁をつくる素材と工法・床をつくる素材と工法
2006年

vol.16号
第9回 解説 
家づくりの工法A 木製建具について/住み継ぐという発想
建具が育んだ建築文化@緩い仕切りの効能A結露しない素材特性と断熱性B日本人の美意識を育んだ建具C二酸化炭素を固定する効果 ・家づくりに参加すること・住み継ぐこと